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『地の底の笑い話』上野英信

上野英信著

 スカブラと炭坑の話しをもっと知りたいと読んでみたが、そうとう面白い。ただ著者が書く笑い話をいくら読んでみても、とうてい私などが笑える代物ではない。背景には強制労働・暴力的支配(性的暴力やリンチ)・劣悪な労働と住環境などがあって、笑い話にこめられた痛苦は限りなく深い。笑いの質がまるで違うのだ。現代には近いものが見当たらない。
 話は少し違うのかもしれませんが、小さい頃は、周りにいる大人は子供にとって全く理不尽な存在で、得体の知れない怖い存在だったなぁと思い出します。例えば親世代には恋愛結婚なんてなく、みんな見合い結婚かあるいは見合いさえないまま結婚なんてそんな時代がついこないだまであったのです。そんな時代に何を笑いに変えていたのか。生きるための必然。笑いこそが最も時代を反映しているんだろうな。