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『エデンの恐竜』カール・セーガン

 ヒトの脳には3つの部分があって、は虫類恐竜時代の脳と、ほ乳類時代の辺縁系脳と、新皮質と呼ばれる発達した前頭葉を作っている部分とが順番にドーナツ状に重なっているという。
 は虫類恐竜時代の脳は攻撃行動やナワバリ争いに関わり、また精神薬やサイケな薬などの多くはほ乳類時代の辺縁系の脳に働くらしい。
 ふとした時に攻撃的になったり、まじめな事を考えていても下半身が別人格だったりする自分にもわからないアンバランスな感覚は、何も僕だけではなく最初から脳がそういう事になっているのだと知ってちょっと安心するわけです。私たちの衝動や欲求、悩みなど心の動きすべてに、何億年もの進化の記憶が詰まっていると思えばワクワクする。
 それは解剖学者の三木成夫さんが言う所の「生命記憶」です。生命が三十数億年をかけたその進化の記憶がぼくたちの身体にも刻まれている、それは海や陸、宇宙のリズムを反映したものでもあるという言い回しはロマンティックで、心の湿度が上がっていきます。それに比べると、カール・セーガンは物理学など多岐にわたる対象を扱う分、ちょっとドライでハートは乾燥気味だがそれが欧米人なんだろうか。