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『河童の三平』水木しげる

 どうかkappaと発音して下さい。
 不可解なサブタイトルではじまる芥川龍之介の小説『河童』は、晩年の代表作です。自殺の4ヶ月前に発表されています。
 妙な語り口の風刺小説だけど、やや方法論に頼りすぎている。その後の芥川賞作品を読んでいると、今もそんな路線に文学があるように思えてくるから、近代の呪縛はどんな世界にもあるのでしょう。
 水木しげるの漫画『河童の三平』はよいですよ。河童と人間・動物との関係を見事に描いています。ちょっとさばけた死生観と動物的感情表現がとてもよくて、意味がまとわりついて絡まってる人間社会を軽々と飛び越えて、何も言わずとも現代批評にもなっていて、芥川よりすごいんじゃない。