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『なにもかもなくしてみる』太田省吾

 建築家の古谷誠章さんの書評が紹介されていた(住宅建築2009年11月号)。太田省吾の『なにもかもなくしてみる』。タイトル通り〈なにもかもなくしてみる〉太田さんの演劇表現を自らの建築に重ねて、自分の建築にはまだまだ無駄なものがいっぱいくっついていると、古谷さんは自省されていました。
 〈なにもかもなくしてみる〉とみえてくるものは確かにある。近代がまさに〈なにもかもなくしてみる〉純粋指向でした。しかし私にとって太田省吾さんの演劇が目指した〈なにもかもなくしてみる〉あとの風景にはそういうピュアなモダンとはほど遠い印象があります。
 たぶん〈なにもかもなくしてみる〉ための方法はいろいろある。太田さんにとって〈なにもかもなくしてみる〉ことは、〈洗練〉ではなく〈人間が焼かれた後の骨〉みたいなものへ向っていたような気がします。建築においても〈なにもかもなくしてみる〉ための方法論は、近代から現代へという流れの中で、〈焼かれた後の骨〉から〈洗練〉の方へと移行していった。太田さんの表現は、その流れにこそ逆らってきたのではなかったか。
 古谷さんが建築からはぎ落とそうとしている無駄なものとは何なのでしょうか。