海の家

受賞 住まいの環境デザイン・アワード2019
ビルダー工務店特別賞
掲載誌
2018 住人十色 TV毎日放送
2017 『住宅建築』4月号―特集 かめ設計室の仕事―
2017 『OCEANS』12月号
2017 『LiVES』8-9月号
2017 渡辺篤史の建もの探訪

竣工年  :2016年
所在地  :千葉県長生郡一宮町
用途   :レストラン+住宅
構成   :夫婦+子ども1人
構造   :木造2階建て+木造平屋建て
敷地面積 :661.35㎡  199.7坪
延床面積 :163.03㎡  49.2坪
設計期間 :2015年2月〜2015年10月
工事期間 :2015年12月〜2016年11月
施工   :建築集団 海賊

海まで歩いて3分という立地。基礎はなるべく小さくして、あるいは柱を束立てにすることで、敷地に対して負荷の少ない基礎形状とした。大地は開放されて、内にも外にも床下にも、斜面地に所々の居場所が生まれた。その結果、建物はまるで「海の家」のような仮設性を得ることができた。
前面のA棟は逆台形、1階はレストランの必要面積を確保し、2階はその1.5倍の床面積をもつワークスペース。横軸の回転窓は水平方向ののびやかさを生み、海が近いことを感じさせる。B棟は階高を抑えたゲストルームと書斎。浴室もB棟に含み離れのような使われ方となり、いちばん奥のC棟が高床式の専用住居となった。そこから海に向かって桟橋のように伸びる板デッキは3棟をむすんでA棟2階へとアプローチする。桟橋はA棟脇からB、C棟へのゲートともなっている。砂浜のような外部空間が中心にあって、3棟の建物は海の家のような佇まいで開かれている。
汎用性をもっているというのは、できたものが共感を生むということ。それは建設に関わったものだけに広がる仲間意識や充実感ということではない。建築はもっと広く、多くの共感や感情をもたらしてくれる実践であり、その力に私たちは建築の可能性をかけている。
海に近く、空は広い。
敷地も広く恵まれた環境に立つと、建築はすっぴんを希求する。
海に行くと服を脱ぎ、靴を脱ぎ、裸になるのに似ている。