城崎温泉 木屋町小路

写真:北田英治(1,2,3,5)
受賞
グッドデザイン賞日本都市計画学会 計画設計賞都市活用モデル大賞 国土交通大臣賞
掲載誌
2010 作品選集2010 建築雑誌
2008 『日経アーキテクチュア』 11月10日号

 

竣工年 :2008年
所在地 :兵庫県豊岡市城崎町
用途  :店舗・公共広場
構造  :木造2階一部RC造
敷地面積:1,051.04㎡ 317.3坪
延床面積:700.19㎡ 211.3坪
設計期間:2004年9月〜2007年3月
工事期間:2007年6月〜2008年7月
共同設計:早稲田大学後藤春彦研究室
構造設計:ビーファーム
設備設計:エム設備設計事務所
施工  :株式会社但馬土建工業

本施設は市町村合併後の住民自治の充実をめざした「城崎このさき100年計画」(早大後藤研究室委託)にもとづくもので、新たな公共空間の提供と地元若者の起業促進のための小店舗群からなり、温泉街の回遊性を高め、新たな賑わいを創出する役割を担っている。
経営破綻したホテル跡地への外部資本進出を回避するために町が取得した敷地に、場所の文脈を読み解くための補助線を引くように神社参道空間を延伸し、南北延長60mの「三十三間広場」を配置した。広場は町を二分して激しくぶつかり合う「だんじり祭り」のクライマックスの舞台ともなる。大正14年の北但大震災の復興過程ですすめてきた角地建物の不燃化による防災まちづくりの思想を継承する「火伏せ壁」(防火壁)を設け、京都黒谷の和紙で仕上げている。
対照的に大谿川沿いは、伝統的町家の空間構成にならったまち並み形成をめざしている。間口を分節し、屋根高さや勾配を周辺家屋に揃え、奥には風通しや雪貯めの坪庭を点在させ、路地による回遊性を創出している。まち並みに対する 「図」の提供だけではなく、「地」模様を整えることも含めて、今後の城崎温泉の景観形成の規範を提示している。